ヒルベルト・プログラム 完全な数学を目指して・・・その後 (2/7章)



ヒルベルト・プログラムとは、

 「数学は完全無欠でなければならない。
  その実現の為にはまず最初に、矛盾の一切出ない完璧な基盤システムを考え、
  きちんと整備しておくべきだ


との提唱です。


1900年代と言えば数学の中でも激動の時代。

乱暴に言ってしまえば〜1800年代までは
数学とは
 「物理学的な問題、工学的な問題、パズル的な問題、○○的な問題を解くために、数学を使う」みたいな
問題は外部から与えられ、それを解くためのツールとしての
数学が考えられてました。


1900年代〜は数学の為の数学。

数学者が数学の中で未解決な問題を探し、
他の数学者がそれを解いてゆく。

そして
  未解決問題が提出される → 誰かが解く
→ 解いてる最中に新しい未解決問題が見つかる → 誰かが解く
→ 解いてる最中に新しい未解決問題が見つかる → 誰かが解く
→ 解いてる最中に新しい未解決問題が見つかる → 誰かが解く
→ 解いてる最中に新しい未解決問題が見つかる → 誰かが解く
→ 解いてる最中に新しい未解決問題が見つかる → 誰かが解く
→ 解いてる最中に新しい未解決問題が見つかる → 誰かが解く
・・・・

を延々と繰り返して行った事で
数学は一気にディープになった。

次々と新しい研究・ジャンルが花開いて
数学の幅が100倍(体感比)ぐらいに増えた
一番激しかった時代だと思います。



ただその一方で・・・・
     
  1. 上記、未解決問題の発掘が止まらない。
     誰か状況を整理してくれ。
     
  2. 未解決問題が多すぎる。
     その中でも重要な問題と、どうでもいいような問題。誰か優先順位をつけてくれ。
      出来るだけクレバー。世界最強ランクの数学者が船頭になった方がいい。
     
  3. 発掘が深すぎる。
     マニアックになりすぎて自分以外の誰も理解できないし、誰も論文を読んでくれない。
     
  4. ん? 何かがおかしい。
     誰かどこかで間違えてないか? どこで間違った?
など、あまりにも急速に研究を進めすぎた弊害が
多々出てきました。


そこでヒルベルトの登場です。
彼はこのややこしすぎる現況を整備し、方針を提唱しました。
それがヒルベルト23の問題ですね。

とりあえずヒルベルト23未解決問題が最重要だから、
そこへみんな向かえばいいんじゃないかと。

それにより問題A〜Cは一応落ち着きました。



さて問題はD。
これはやや異質です。

具体的にいくつか例を挙げると:
 当方のコラムでも取り上げた
など。

数学の研究がディープになるほど
なんだか不可思議な問題がたくさん出てきて、
あちこちで
 「・・・ん? これ・・・正しいの? いま本当に合ってる?
みたいな変な空気が流れ始めました。


特に「選択公理」。

 「与えられた集合の族に対し、各集合から適当な要素一つを選択し、新しい集合を構成する事は常に可能である

これは本当にわからない。^^A;

直感的には。多分・・・合ってる・・・ような気はするけど。保証がない。
もしかしたら超エクストリームなケースでは矛盾が発生するかもかも。
もし矛盾があったら選択公理を使う論文は全部おじゃん。
って微妙な例がたくさん出てきた。


さすがに危険。


今立ち止まって、
足場を固めて、数学のルールをしっかり整備しなくては。


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