ヒルベルト・プログラム 完全な数学を目指して・・・その後 (4/7章)




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さてその後。
ヒルベルト・プログラムはどうなったかと言うと
意外な結論が出ます。


数学者のゲーデル。
彼の論文「第2不完全性原理」によれば
 「ある理論体系に矛盾が無いとしても、
  その理論体系は自分自身に矛盾が無いことを
  その理論体系の中では証明できない
事を証明しました。


すなわち、
ヒルベルトの追い求めていた完璧な数学、

 「矛盾のない、100%完璧な理論」

そんなものは絶対に作れないと
わかってしまった。



まあ99.9999%ぐらい、ほぼ完璧には近い。

少なくとも
現在までに人類の誰も矛盾を指摘できた事のないぐらい
完成度の高い理論体系は作れますが。

それが決して100.00000%まで完璧であるとは言い切れないわけです。


ってな事で。



この99.9999%スタンスは現在の数学では
広く受けられているポピュラーな考え方ですが。

1900年代の発表された当時では衝撃的な論文でしたねえ。(^^A;


「数学とは完全な学問」であると信じていた当時の数学者たちが
その前提を否定されたんですからね。

しかもシステムをどう改良しようとも
不完全性は絶対に除去できない。


・・・さすがにこれはちょっとね。



だから当時の時勢としては必死にゲーデルの否定。
実はゲーデルの理論には穴があり、
 ゲーデルが間違ってる。
 ヒルベルト・プログラム、および完全な数学を目指す方向こそが正しいはずだ。
 完全でなければ研究の意味がない。

と信じたかったですが・・・


「第2不完全性原理」の論文を検証すると
やっぱりゲーデルの言ってる事が正しいように思える。

読めば読むほど
反論の余地のない完璧な証明だとの事がわかってきて
ヒルベルト・プログラムは否定されてしまいました。


そこは数学者。
理屈の正しい方が勝ち。
納得せざるを得ません。(^_^;




ヒルベルトは数学史に名を残す。間違いなく超天才な人間です。
しかしこの点に関しては間違っていたようです。



・・・・・・・・・・さて。
・・・・・・さて。
・・・さて。

それでは。

完璧な数学は否定されました。
これって結構困る(汗)。


なにしろ数学の完璧性を否定されたって事は

  1+1=2

の事実でさえも
根拠がなくなってくるって事だからです。


専門的に言えば、ZFC公理体系という物を使って

  ZFC公理体系  → 1+1=2の証明

は書けます。

・・・・が、その大元のZFC公理体系が、正しいかどうかの保証がないので(^_^A;
その上でいくら議論しても
意味がないんじゃね?って問題になるわけです(汗)。



あー困った。

その後、数学はどうなった?


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