ヒルベルト・プログラム 完全な数学を目指して・・・その後 (1/7章)
今年の数学コラムはヒルベルト・プログラムについてお話しします。
ダーフィト・ヒルベルト(1862-1943)は偉大な数学者で、
数学の専門書の中には
ヒルベルト関連の定理はいっぱい出てくる。
例えば数学者〜物理学者〜工学者なら誰しも一度は絶対に見た事がある
フーリエ級数
f(x) = c + Σ[An cos(nx) + Bn sin(nx)]
この
「無限の△△項目を使ってXを別の形式で表現する」
形式。
およびその演算が正しく成立する事の正当性は
全部まとめて「ヒルベルト空間」であり、
ヒルベルトがみっちり研究してみっちり整備したからこそ
我々も安心して使えるわけです。
その他にも功績多数。
彼の先見の明は恐ろしく鋭く。
理論の礎(いしずえ)、一番の根っこを誰よりも速く見抜いて
まっさきに定理化してしまったので
あちこちのジャンルで
彼の名前は絶対に目にしてしまうわけですね。^_^;
またヒルベルトは数学と言うシステム、数学者、組織のあり方などにも熱心で
これまた有名な
「ヒルベルト23の問題」
- 連続体問題
- 算術の公理と無矛盾性
- 等底・等高な四面体の等積性
- 二点間の最短路としての直線の問題
- 位相群がリー群となるための条件
- 物理学の諸公理の数学的扱い
- 種々の数の無理性と超越性
- 素数分布の問題、特にリーマン仮説
- 一般相互法則
- ディオファントス方程式の可解性の決定問題
- 任意の代数的数を係数とする二次形式
- 類体の構成問題
- 一般7次方程式を2変数の関数だけで解くことの不可能性
- 不変式系の有限性の証明
- 代数幾何学の基礎づけ
- 代数曲線および曲面の位相の研究
- 定符号の式を完全平方式を使った分数式で表現すること
- 結晶群・敷きつめ・最密充填
- 正則な変分問題の解は常に解析的か
- ディリクレ問題の一般化
- 与えられたモノドロミー群をもつ線型微分方程式の存在
- 保型関数による解析関数の一意化
- 変分学の方法の研究の展開
で数学としての最重要課題、
今後の数学の研究が進むべき方向性を示しました。
(なおヒルベルト問題は提唱された当時1900年代では全て未解決。
2015年の現在はほぼ全てが解決済みです。)
いや〜。彼は本当に凄い人なんですね。(^^;
23問題、一つ一つが専門のジャンルです。
それぞれの専門家じゃないと問題文の意味さえ
読めないほど難解。
並の数学者なら一つを追うだけで手一杯。
お隣さんの内容なんか知らないよって状態なのに
ヒルベルトは〜1000個ぐらいのジャンルに精通し
その中から23個の最重要課題を抜き出し
指し示すぐらいの
幅広い知識があったんですから。
いかに超人だったか。
さて、
ヒルベルト23問題の他にも
彼にはもう一つ、数学に対する重要な提唱がありました。
それがヒルベルト・プログラム。
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