コーエンの強制法と連続体仮説の否定モデル 第4/11章



コーエンの強制法、及びその成果の一つである
「ω0とω1の間に中間サイズの無限は存在できる」
を例え話で説明します。


これは言うなら・・・
「整数の世界に住んでいる住人の視点から、
 整数と+−演算だけを使い、
 小数の世界の存在を証明せよ」 みたいな問題です。


整数の世界の住人とは、
0、1、2、3、4、・・・および−1、−2、−3、−4、・・・の数を使える人たちの事です。
そして使える数は整数オンリーで、それ以外の数(小数、無理数、虚数)などは禁止されています。

そして彼らは+と−の演算が使えます。
例:
 1+1=2
 9−6=3
 5+7=12


ルールはシンプルにこれだけ。
「整数」および「+−演算」のたった二つだけです。


この状態からコーエンは「小数の世界」が存在してる事を示そうとしました。


・・・・。
これは結構、どころかほとんど不可能に思える難題です。

というのもさっき見たとおり
 1+1=2
 9−6=3
 5+7=12
整数同士で+−を行う限りは
答えは常に整数となるので
決して小数を作り出す事ができないからです。

「割り算」や「√を取る」などの演算を使わない限りは
決して整数世界の外に出れません。


ここで読者の中には
 「方程式:x + x = 1 を満たす答えを探せばいいじゃないか」
と思われる方もいるかも知れませんが、
それもNGです。

整数世界の住人は割り算を使えませんから
 x + x = 1
 2x=1
の問題を解けません。


なぜなら彼らの世界のルールでは、数字は必ず整数でなければならないので
 2x = 1
と言う問題を与えても
「世の中にある全ての数を探したけれど、x + x = 1を満たすxは(整数世界の中には)存在しなかった。この方程式は解を持たない」
と返されて失敗に終わります。



いやはや。
このように「整数」および「+−演算」の縛り条件がある限りは
絶対に小数は作り出せません。

ぜーーーーっっったいに無理に見えますが、
ところがこの超難題にもほんの僅かな抜け道があり、そこを探して論破し
みごと(整数世界の中から)小数の存在証明を行ったのが
コーエンの強制法です。
だから凄いんですね。


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