ポアンカレ予想 世界一周してロープを回収できる図形は、球のみか? 15/15
所感
この証明で個人的に興味深いと思ったのは
「単連結 → ならば球」の根拠が
消去法に依存してる事でしょうか。
すなわち
A.単連結と言う性質を持つ = 球」
ではなく、
B.単連結と言う性質を持つのは基本8図形の中では球だけ。なので単連結=球」
になってる所です。
前者と後者は構造が違います。
B.は
「図形の基本系は全部で8種類」と言う事実と、
「8種類の中で単連結の性質を持っているのは球だけ」と言う事実。
「8種類全部」の性質を調べてからでないとわからないのです。
他者に依存している性質。
いっぽうでA.は
「ロープの回収ルートが存在するならば、その図形を球に変形する手法も(ルートに関連したパラメーターで)存在する」
と直接の変形を与えるわけで。
「図形の基本系は全部でn種類」と言う全体の分類、および
「n種類の中で単連結の性質を持っているのは球だけか?」
など他者に依存はしていません。
単独で存在している性質。
実際問題、証明するにしてもAとBでは
そうとう別の事を言っています。
そしてポアンカレ予想は
パターンBによって証明されました。
パターンAによる解法は(まだ)ありません。
むろん。パターンAがないのは
まだ誰も気づいていないだけで、
いつの日か誰かがパターンAからによる証明を発見する日が来るかも知れませんが。
少なくとも現時点では
パターンAによる直接証明は
存在しない可能性が高いです。
ここで序文に戻ると
手前味噌で恐縮ですが
私が最初に
意外に思われるかもしれませんが
「図形はロープが回収できるか?」と言う性質と
「図形は球に変形できるか?」と言う性質は
別物です。
前者は「図形Aについての性質」を述べてる1項関数。f(A)形式。
後者は「図形Aは図形Bと同じ形か」を述べてる2項関数。g(A,B)形式。
文法のレベルからして違うぐらい別の事を喋ってるんですから
両者が一致する必然性はどこにもないんです。(驚愕)
と提唱しましたが。
個人的な所感なのですが〜〜
恐らく。
やっぱり。
f(A)とg(A,B)が一致したのは「たまたま」であって。
(「他の7つではないのだから、残りの1つなのだろう」と言う消去法による証明になったのがその根拠)
f(A)とg(A,B)は関係のない独立した性質に思えます。
なぜなら、f(A)とg(A,B)は文法レベルからして違う
別の関数なので。
そして両者には一致する必然性がなかったから
f(A)=g(A,B)を証明しようとする
「単連結 = 球」の直接証明、パターンAからのアプローチは失敗に終わり
(正確には未踏。将来誰かが発見するかも知れない)
f(A)とg(A,B)のお互いの性質を列挙し
値を比較して一致箇所を見つけた
間接証明、パターンBからのアプローチが成功したように感じます。
詰まるところ
「単連結 = 球」はただの偶然。必然性ではなかった(?)
のかと私自身は思うわけです。
面白いですね。はい。
今年の数学コラムはこれで終わりです。
ありがとうございました。
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