無限にも大きさのランクがある!2(2009/01/01)




例として
 A={い、ろ、は}
 B={に、ほ、へ、と}
としたときAとBのどちらが大きいでしょうか。

まず一つの方法はそれぞれの個数を数え「Aの個数は3」、「Bの個数は4」→「よってBの方が大きい」と
数を数える事です。もちろん正解です。
しかし大きさを比較するにはもう一つ方法があってそれは
AとBの間で1:1のマッチング対応を作り

 A={い、ろ、は}
    ↑ ↑ ↑
    ↓ ↓ ↓
 B={に、ほ、へ、と}
(マッチング方法はこの順序でなくても何でもいい。1:1であれば。)


結果、最後にBに要素が一つ余ったので「Bの方がAより大きい」とも言えます。
これが1:1対応法です。

別の例を出すと

 A={○、△、□}
 B={■、●、▲}

としたときには
 A={○、△、□}
    ↑ ↑ ↑
    ↓ ↓ ↓
 B={■、●、▲}

となり今度は「1:1対応を作り、どちらも余りが出なかったので個数は同じ」と言えます。

何という自明な事でしょう。(^^A;
当たり前です。
AからB、BからAへの1:1対応が存在すれば個数は同じです。
または
どちらかの個数が大きいとすれば、1:1対応の後に大きい方に余りが出るも成立します。
少なくともこれらの論法に間違いが存在していないのは
誰しも疑いようのない事実だと思います。

・・・・
・・・
・・

当たり前じゃん」。

あっ、いまそう思いましたね?;^^)
そうですそれが重要です。
直感的に考えて疑いようのない事実だからこそ意味を持つんです。
それを踏まえた上で前ページの無限集合に戻ってみましょう。


 A={1、2、3、4、5、6、7、8、・・・・}
 B={  2、  4、  6、  8,・・・・}
とします。
この時、一見してAの方がBより二倍個数がありそうに見えますが
先ほどの「1:1対応を作り、どちらも余りが出なかったので個数は同じ」をこのケースに適用してみます。

そこで少し順番を詰めてこうしてみましょう。

 A={1、 2、3、4、 5、 6、 7、 8、・・・・}
   ↑  ↑ ↑ ↑ ↑ ↑ ↑ ↑
   ↓  ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓
 B={2、 4、6、8、 10、12、14、16、・・・・}

このようにn←→2nと言う関係を結べばお互いの全てのメンバーの間に1:1対応があり、
どちらにも余りは出ません。

余りが出ない、それはすなわちAの全ての要素にはBの対応する要素があり、
(例:Aの3→Bの6、Aの100→Bの200、Aの3567→Bの7134、・・・・)
Bの全ての要素にはAの対応する要素がある
(例:Bの1000→Aの500、Bの8→Aの4、Bの9874→Bの4937、・・・・)
と言う事です。

なので、Aの方がBより密度が倍あり個数も倍にありそうに見えますが
1:1対応を作り、どちらも余りが出なかったので個数は同じ」の原則がある限り
実際には同じ個数と言えるんです。



えっ、おかしい?
でもやっぱり直感的にはどう考えてもAの方が2倍大きい?

いえいえそんな事はありません。
それではもし仮に「Aの方がBより個数が大きい」と思うなら
どちらかの個数が大きいとすれば、1:1対応の後に大きい方に余りが出る
を適用し「1:1対応の後にはAの何かが余る」、その余りを反論側が明示的に示さなければいけません。

しかし無理なんですね。
 A={1、 2、3、4、 5、 6、 7、 8、・・・・}
   ↑  ↑ ↑ ↑ ↑ ↑ ↑ ↑
   ↓  ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓
 B={2、 4、6、8、 10、12、14、16、・・・・}

この通りAに余りは一個も出ませんから。
よってAとBの個数は同じと結論づけられるのです。



・・・・
・・・
・・

なんだか狐につままれたような話ですが
カントールの無限ランクの論文が世に出た時には当時の数学者達でさえも
「そんなバカな」と笑った物です。

しかし実際によく検討してみると
奇想天外なアイデアですが展開に論理的な矛盾が見あたらないし
そして反論・反例を誰も出す事ができなかったので
これは正しいと認めざるを得ないとの流れになったのです。



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