バナッハ・タルスキーのパラドックス 第2章



まず最初に無限ホテルと言う別の問題の話をします。

バナッハ・タルスキーの簡易・簡易バージョンぐらいですが
ここから始めてステップアップしていくのが第一歩。



無限ホテル問題:
・無限ホテルには無限の部屋がある。それらには1号室、2号室、3号室、・・・とプレートが割り振られている。
・無限ホテルの全ての部屋には客が入っている。
・ところが1号室の客が退室して空き部屋が一つ出来てしまった。
・ホテルの支配人は満室満員を維持しておきたいので空き部屋が出るのを嫌がった。
・しかし新しい予約は当面入ってない。飛び入りの客もやってこない。
・客を一人も増やさず、支配人はどうすれば無限ホテルを再び満室にできるでしょう?


図にすると

状態A.満室状態:
 ■ ■ ■ ■ ■ ■ ・・・・
 1  2  3  4  5  6

状態B.1号室に空き状態:
 □ ■ ■ ■ ■ ■ ・・・・
 1  2  3  4  5  6

こんな状況ですね。
状態Bをなんとかして状態Aに持ってゆきたい。客を一人も増やすことなしに。


無理ゲーのような気がしますが・・・
実はできるんです!

答えは:
n号室の住人に(n-1)号室に移って貰う。
 □←■←■←■←■←■ ・・・・
 1  2  3  4  5  6

これです。
空いた1号室には2号室の住人が入るので1号室は埋まります。
空いた2号室には3号室の住人が入るので2号室は埋まります。
空いた3号室には4号室の住人が入るので3号室は埋まります。
・・・・・

これでまた満室、
■ ■ ■ ■ ■ ■ ・・・・
1  2  3  4  5  6
になるんです。


なんだか騙されたような気もしますが・・・
いや実際にそうなっちゃうんです。

もしあなたが「それは詭弁だ。どこかに必ず一部屋空きがあるはずだ!」と主張するなら、
反論側のあなたがその空き部屋がどこにあるのか
具体的な部屋番号を指摘し、
立証しなければいけません。

ところがそれはできないんです。
全ての部屋、n号室にはn+1号室の住人が移住済みで
確かに人がいますので。

なので結論として、このホテルは満室だと言わざるを得ない。
そうなってしまうんです。


これが無限ホテル問題です。
∞ = ∞−1
だからこそ成立してしまう奇妙な住人シフトでした。

次にまた無限ホテルの別バリエーションやります。


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