ギャンブルの必勝法はあるか?確率と予測


「ギャンブルに『流れ』はあるか(2006/07/03)」

よくギャンブルとか勝負事では「今はツイてる。流れがあるから次も勝てる。」などと言われます。
実際に「流れ」いう物は果たして存在してるかどうか、数学から見た見地の与太話でも。

その前に違う話になりますが一つ面白いパラドックスの話でも。

前提
表か裏が1/2で出るコインがあり、仮に100回投げてその結果が表40回・裏60回だった。


推測
この後コインを振ると、表が出る確率は裏が確率よりも高い。


(エセ)証明
なぜなら、コインの確率は表も裏も1/2であるので
前提によりこのあと表1000回・裏1000回のようにどこか途中で並ばなければならない。
よって、表は960回、裏は940回が出る事になり
表の方が出やすくなる。

並ぶのがどこのポイントであれ表が裏より多く出て巻き返さなければ確率が1/2にはならないので
その方が矛盾になる。よって表の方が出やすくなる。


もちろん、この論理の中には穴があり実際には通用しないわけですが。
古今東西ルーレット・サイコロ・丁半などあらゆる確率の公平性に頼るギャンブルで
この理論が必勝法として成り得るかは議論の的だった事でしょう・・・
さて問題はどこでしょう。


「ギャンブルに『流れ』はあるか2(2006/07/08)」

前のウソ理論の謎を暴いてみましょう。

実際はいくつも間違ってポイントが入ってて全体的に間違っているのですが(^^;
まず一つ挙げるとすれば
 ・並ぶのがどこのポイントであれ表が裏より多く出て巻き返さなければ確率が1/2にはならないので
です。

例に戻りますが仮にここまで表40回・裏60回出ているとして、
この時の表・裏の出る確率は表40%・裏60%で確かに偏っています。

しかしこのあと200回振って、本来の1/2の確率に基づき表100回・裏100回が出たとすれば
合計では表140回・裏160回となり確率は46.6%・53.3%となり総確率は1/2に近づきました。

2000回振って表1000回・裏1000回が出れば
合計では表1040回・裏1060回になり確率は49.5%・50.5%となりさらに1/2に近づきました。

20000回なら49.95%・50.05%
200000回なら49.995%・50.005%
2000000回なら49.9995%・50.0005%
・・・
とまあどんどん1/2に近づいてゆきます。


仮に、表0回・裏10000回とありえない偶然で裏ばっかしが多く出て表0.000%、裏100.000%のここまで劣勢な初期状態でも
その後ちゃんと1/2の確率で表・裏が出てくれれば
20000000000回振ってその後1/2で出れば表(10000000000/20000010000)=49.99975%、裏(1000010000/20000010000)=50.00025%で
ちゃんと1/2に戻ってゆきます。


総数が多くなれば数でいくらでも薄まるので
その後に、表が裏より多く出てくれないでも、いくらでも1/2に収束していくわけで確率的には矛盾はありません。
よって裏が多く出て巻き返す必要はなく、この後に表が特に多く出る理由もないのです。


すなわち
 表が裏より多く出て巻き返さなければ確率が1/2にはならないので
この部分が実は正しくなかったのです。
初期状態がどんなに偏っていても1/2の確率が保証されているなら後は回数を増やせば確実に1/2に消化されてゆきます。

その他の間違いもありますが次にて。


「ギャンブルに『流れ』はあるか3(2006/07/13)」

ウソ理論の検証その2です。
どこが間違っていたのでしょう。

実は本当の事を言うと、
実際コインはどこかの時点で表=裏の回数となります。

これは俗に言う「酔っぱらい男アルゴリズム(ひどい名前(^^;)」と言う理論で、
表裏が50:50で出るのなら時には表の方が多かったり裏の方が多かったりもしますが
この表裏の間をコインはふらふらさまよい続け
長い目で見ればいつかは確率的に必ず中央線(表の回数=裏の回数)に戻ってくる事が保証されています。

すなわち
 なぜなら、コインの確率は表も裏も1/2であるので
 前提によりこのあと表1000回・裏1000回のようにどこか途中で並ばなければならない。
ここは正しいです。いつかは並ぶ時が来ます。
(前の日記の理論の否定ではありません。仮に並ばないでも回数さえ増えれば1/2に収束するのも同時に事実でそれはまた別問題です。)


しかし・・・・問題があります。
何かと言うと「いつかは並ぶ時が来る」事はわかっていても
その肝心の「いつか」を求める方法がないのです。

1000回後かも知れませんし10000回後かも知れませんし1000000万回後かも知れませんし
もしかしたら100回表の後は100回裏が続いてすぐ並ぶかも知れません。

はたまた偶然100回表の後に偶然99回裏が続いて「おおっ、戻してる!?」と思っても
表裏の確率は常に公平に1/2ですので次で並ぶかどうかも1/2。
どうしようもないわけです。


繰り返しになっちゃいますがここのポイントはこの一点。
「確率的にいつかは並ぶ時が来る」事はわかっていても、
その肝心の「いつか」を求める方法は存在しない。


次が表か裏かは絶対的に1/2。並ぶかどうかは目が出てから結果として成立するだけの事で事前に予測はできません。
なのでギャンブルの必勝法としては成立はしません。
これが理由です。



「ギャンブルに『流れ』はあるか4 完(2006/07/21)」

ってなわけでなかなか興味深い「酔っぱらい男アルゴリズム」いかがでしたでしょうか。

コインの統計を取るとは時には表が連続で出たり、時には裏が連続で出たり、
図にすると黒と白のマーブル模様みたいなパターンが出てこれが「流れ」と
言われたりする物だと思うのですが
それは確かにある一面では正しいです。

いくら1/2の確率と言ってもシマウマみたいな白・黒・白・黒・白・黒では余計おかしいです。(次に出る目が予測できるのなら確率ではありません・・・)
マーブル模様は必ずできます。
しかしそれと次の目の予想は無関係なのです。


数学的に言うと
結果的に見ると偏りは出来るが次の目の確率は常に1/2であり今までの結果は関係ない。
 マーブル模様が見えたからと言ってそれは次の目を知る上では何の役にも立たない。

が結論です。
確率は常に1/2で、過去のデータからいくらパターンを推測しようとしても意味がないのです。
仮に目が白・黒・白・黒・白・黒・白・黒と出たとして、「次は白!?」と思っても
それは今までの結果が偶然そうなってしまっただけで次の目の確率は変わらず「黒50%・白50%」。
どうしようもありません。
厳しいですが。

確率を何とか改善しようとするエセギャンブル理論は完全否定されます。
どこをどうやっても無理です。



余談ですが「酔っぱらい男アルゴリズム」は二次元でも成立します。
東西南北の4方向にランダムに一歩歩く男は、時間さえかければ確率的にいつかはスタート地点に戻ってくる事が保証されます。

さらに余談ですが面白い話として「酔っぱらい男アルゴリズム」は三次元では破綻します。
上下左右前後の6方向にランダムに一歩歩く男(?)は、
今度は時間をいくらかけようとも確率的にスタート地点に戻ってくる事は保証されません。

2方向、4方向までは許容範囲ですが
6方向も選択肢があると空間が広くなりすぎて確率的にスタート地点から遠ざかるスピードの方が
スタート地点に戻ってくるスピードを越えて確率的に戻りようがないほど元の位置から遠く離れてゆく為です。


幽霊船はOKですが宇宙空間の中では迷子にならないようにしましょう。


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