アキレスと亀のパラドックスの話
「アキレスと亀(2006/05/19)」
最近ふざけてばっかでいるのでたまには真面目な事でも書いてみる。(一応こっちが本来の専門・・・)
お題目は「アキレスと亀」。
これはどんなに足の速い人でも自分の前にいる亀を追い抜けないと言われるパラドックスです。
有名な話なので説明の方は検索エンジンで探せばいくらでも見つかるのでそちらを参照してください(ぉ。
もちろんパラドックスと言うのは嘘で実際に論理が破綻するカラクリがあるわけですが。
それを説明するために「無限バウンドボール」と言う物を考えてみましょう。
これは地面にバウンドする事に前に落ちた位置の半分の距離までバウンドするボールとします。
具体的には、最初に1mの高さから落としたら次のバウンドで50cmまで跳ね上がって、
その次のバウンドは25cmまで跳ね上がり、
その次のバウンドは12.5cmまで跳ね上がり、
その次のバウンドは6.25cm、
その次は・・・
と延々とバウンドし続けるボールです。
それでは問題「このボールは永遠にバウンドし続けるか?」
答えはNO。
一見、ボールは常に前回の半分バウンドを繰り返す余地があり
どんなにバウンドが小さくなっても静止する事はなく永遠に小さなバウンドを繰り返していそうに見えますがそうではありません。
(†)
なぜなら、ボールについて今度はバウンドの時間で考えてみます。
最初に1mの高さから落とし、次のバウンドで50cmまで跳ね上がって返ってくるのにかかる時間を1秒とします。
するとその次に、50cmの高さから落ち次のバウンドで25cmまで跳ね上がってくるのにかかる時間は前回の半分の距離ですから時間も半分の0.5秒になります。
その次に、25cmの高さから落ち次のバウンドで12.5cmまで跳ね上がってくるのにかかる時間も同じく前回の半分の0.25秒、
その次に、12.5cmの高さから落ち次のバウンドで6.25cmまで跳ね上がってくるのにかかる時間も同じく前回の半分の0.125秒、
その次に・・・・
それではこの延々とバウンドし続けるボールの総バウンド時間はいくつになるでしょう?
それは( 1 + 0.5 + 0.25 + 0.125 + 0.0625 + ・・・・)秒
数学的な詳細は置いておくとして実際に電卓でやってみるとわかりますが
答えはどんどん2.000000000秒に近づき、最終的には2秒ピッタリになります。
なので、バウンドは2秒で止まります。
すなわち永遠にバウンドし続けるわけではありません。
あれ?
多分直感的には納得しにくいと思います。(^^;
ボールはどんなに短い距離でも前回の半分バウンドを延々と繰り返すわけですから確かにバウンド回数は無限です。
それは間違いありません。
しかし、それにかかる総時間その物は例え無限回バウンドを全部合わせても高々2秒に収束し、
時間的にはずっとバウンドし続ける事はありません。
2秒間以内に無限回のバウンドを終わらせ、2秒を過ぎたら静止(バウンド距離が0に収束する)するわけです。
なんだか無限とか日常生活には使わない言葉が当たり前のように出てきて混乱する方もおられますでしょうが
†からの部分を実際に電卓で実演してみれば
そうなるのが納得できると思います・・・
バウンド回数ではなくバウンドにかかる総時間で考えるのがこの問題の鍵です。
最初のアキレスと亀の話に戻りますがこの問題も性質的には無限バウンドボールと全く同じです。
無事アキレスはある一定時間内に亀に追いつき追い越します。
たとえ亀の残像を無限回タッチしたとしても、それにかかる時間は有限ですから。
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