ギャンブル必勝法?1割システム


「ギャンブル必勝法?(2007/05/26)」

某マンガで見かけたギャンブルの必勝法(?)が意外と興味深い物があったのでちょっとだけ考察してみます。
有名なのは最初にコインを1枚賭けて、負けるたびに倍乗せしてゆく「マーチンゲール法」ですが
これはまた違う「一割システム」。
その戦法とは常に持ち金の1割を賭ける事です。

具体的には、10000円スタートなら最初に1000円をベット。
勝って11000円になったら次に今の手持ちの1割の1100円を賭ける。
また勝って12100円になったら次は1210円を賭ける。
また勝って13310円になったら次は1330円(面倒なので少額は適当に切り捨ててOK)を賭ける。
・・・
3回勝ちの時点では儲けが+3310円。

逆に負けるコースなら、
一回目は1000円ロストで9000円。
次は900円賭けて失って8100円。
次は810円賭けて失って7290円。
・・・
3回負けた時点では-2710円。

なので3回勝ったケースと3回負けたケースの平均を取ると+600円でプラスになっています。
もちろん3回だけじゃなく、任意のn回(連続勝ち/負け)全てで利益>損失が成立します。

こ、これはすごい。
勝てば勝つほど投資が増えて利益は増え、負けに回ると消費を抑えて損失が少ない。
まさかこれはギャンブラーが長年夢見たギャンブル必勝法では!?





現実はそんなにうまい事はありません。(^_^;
確率が5割で固定されている以上は賭け方にはよらずリターンも5割になるはずです。理論的にそれ以外の結論はあり得ません。
(元本と最低目標金があって、目標金に到達するまでの確率を最大まで上げるケースの最適化問題と最適解答などは別にありますが)
それではどこにカラクリがあったんでしょうか。
↓以下反転タネ明かし

このシステムは一見うまく行くように見えるんですが・・・(私も最初はちょっと迷いました。(^^;)
実際には破綻してます。

なぜなら、例えば1回勝って次に1回負けたケースを考察すると
手持ちは10000×1.1×0.9=9900円になります。
反対に1回負けた後に1回勝ったケースを考察しても
手持ちは10000×0.9×1.1=9900円になります。

あれ?9900円?
1勝1敗なのに元本より下がっちゃいました。

二回勝って二回負けたケースでも、勝つ・負けるの組み合わせがどの4パターンで来ても
手持ちは10000×1.1×1.1×0.9×0.9=9801円。
2勝2敗でさらに下がりました。

n勝n敗なら元本×1.1n×0.9n=元本×0.99n
元本に1より低い倍率を掛け続けてるので下がる一方なわけです。


ここがポイントです。
このシステムでは勝率5割じゃ元本より下がってしまうんです。
勝った時には儲けが大きくなりますが、その反面その他のケース全て(負けが5割ピッタリ、または5割未満)で
元本を下回ってしまい
本質的には「1点で大きく当たるか、その他ほとんどは外れ」の宝くじ構造こそがこのシステムの正体です。

勝つ・負けるの全ての組み合わせを取って平均した期待値はもちろん元本と同じ10000円。
期待値が同じである以上ランダムに賭けるのと勝率は変わりません。
(ギャンブルに熱くなっても賭けすぎを起こさせない、長く続いて適度にギャンブルが楽しめる、などの心理的効果はありますでしょうが)

幸運の女神は厳しいのでした。(;_;)


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