「一枚襟のお話3 (2023/09/20)」
スーツ(背広)のお話 その3。

前回、我々は。

"襟の3Dモデル"は、
平面の布から作ることは不可能だと
示しました。
(絶対に布余り、シワが出来る)
だから、普通は二枚の布を縫い合わせてエリを作る。

これが二枚エリの原理。
市販の99%のスーツはエリが二枚のパーツに分かれてる理由です。

それに対して。この"一枚襟のスーツ"

の正体は。

このように、平面の布に
アイロンで熱をあてて変形させています。
これが一枚エリの原理です。
もちろん、ただ熱を当てて
適当に曲げれば良い者ではありません。
ちゃんとユーザーの首の
3D図形に合わせて
ピッタリカンカンに曲げる必要があり。
それには職人の卓越した技術が必要になる。
これが
襟が2パーツに別れてるタイプと

襟が1パーツのタイプ

の違いです。
つまりは、エリを1パーツで作るってのは:
そのスーツにそれだけの
潤沢な時間・技術・コストをかけて作ってる
を示す痕跡であり。
仕立ての最高峰を示す、
バロメーターなのです。
(一枚襟だから、良い/悪い ではない。
品質最優先&コスト度外視 → 一枚襟 → 極クオリティ
エコノミー優先 → 二枚襟 → 並~高クオリティ
のロジック。)