「一枚襟のお話2 (2023/09/06)」


スーツ(背広)のお話をします。





前回スーツには、

襟が2パーツに別れてるタイプと

1パーツのタイプ

があると説明しました。

襟が2パーツか、1パーツか。実はそれだけで価格が1桁違ってくる
恐ろしい違いがあります。



なぜか。それにはちゃんとした理由があります。

これがスーツの簡易的な3Dモデルです。


ここが襟の部分

実は↑の"3Dモデル"は、
"平面の布"から作ることは絶対に不可能です。



なんとーく。感覚的にもわかると思うのですが、


  直方体 → エリの立体形
に曲げようとすれば
内周の方に"布あまり"。
シワが出てくる。

布を違う形(扇形)に裁断したり、
折り曲げる場所を変えたりしても
不可能です。

平面の布はどこをどうやっても
エリの形に曲がりません。



じゃあ、スーツのエリを作る時に
工場では何をやっているかと言うと。

ズバリ! エリをAとB。2パーツに分割するのです。



これが二枚襟の原理であり、
市販の99%のスーツは
 エリが二パーツに分割されてて、中央に継ぎ目がある
理由です。



さて、それを知った上で。
"一枚襟のスーツ"を見てみましょう。


あ、あれ? (^^;
継ぎ目がないじゃん。1パーツで出来てるじゃん。

  平面の布 → エリの形
は絶対に無理なはずじゃん。
なんで、出来てるんだよと。



この問題は、思っているよりもずっと難しい。

襟が2パーツ


襟が1パーツ


たかが襟が1パーツか2パーツだけで、
実際エラいこっちゃなんですよ。(^^A;


じゃあ一枚で襟を作ってるメーカーは
どうやってこの不可能問題を解決してるか。

次回へと続く。