「Tree3の停止性証明 第10章 Zは矛盾する (2021/04/24)」



Tree3の停止性証明 第10章 Zは矛盾する











さて。
読者の中には
  「矛盾が発生すると、なぜマズいのか?
と思われる方もいらっしゃるかも知れません。^_^;

プログラム言語で言うtry-catch構文みたいに。
ひょっとして、矛盾の出現したブロックだけ無視してもいいんじゃないか?
・・・と。

それは!鋭いですね。
「なぜそうなるのか」
積極的に疑問を持てるのは
知の探求者です。



実は、数学の中に一つでも矛盾が発生すると
「1+1==1」みたいな偽定理が
証明できてしまいます。


こういうのを取り扱ったジャンルを命題論理(Propositional Calculus)と言います。
命題論理は数学よりもさらに原始的な、「ロジック」そのもの。

数学はそもそも「ロジックは成立している」として話を進める学問。
命題論理は「何がロジックなのか?」を考察するジャンル。

つまり何が『合理的な推論』であり、
何が『合理的ではない』などについて
研究している分野です。

まあとにかく命題論理を使って
  1+1==1
を証明してみましょう。

「仮に矛盾が存在すると、1+1==1が証明できてしまう」の証明

もし数学の中に矛盾が発生するとします

「矛盾」とは、
ある定理・式・文 pにつき
その肯定、および否定。両方が証明されていることである。

つまりpは真であり、 !pも真である。(と証明してしまった)

このとき命題論理の第一法則を持ち出して
  (p → (q→p))
        
前提によりpは真なので、modus ponensして
  q→p

対偶を取って
  !p → !q

前提により!pもまた真なので、modus ponensして
  !q

そして
  q = (1+1!=1)
とする。この式は常に真である。

だが!qも成立するので、
  !q = !(1+1!=1)
   = (1+1==1)

つまり
  1+1==1
が証明できました。 □
  (p および !p が同時に成立してる仮定の元)
        

同様の手法で、どんな嘘文章でも真だと証明できます。

そのような学問には何の意味もないので、
数学の中には矛盾が一つでも発生した時点で
強制ゲームオーバーになるんですね。はい。