「数学コラム よくわかる!コンパクト性の説明 パート9 (2020/10/31)」



はい、いよいよ。

ハイネ=ボレルの被覆定理。
閉集合[0,1]はコンパクトである。
の実証パートに入ります。



まあ実際やってみると
わかるんですが。^_^A;


例えば中心0、半径0.9の開集合ディスクを使って
  r1 = 1/2 * 0.9
  r2 = 3/4 * 0.9
  r3 = 7/8 * 0.9
  r4 = 15/16 * 0.9
  ...
  r = 0.9
みたいなシークエンスを作ると、
最大でも半径は0.9なので
閉集合ブロック[0,1]の被覆にはなりません。



中心0、半径1.0の開集合ディスクを使うと
  r1 = 1/2 * 1.0
  r2 = 3/4 * 1.0
  r3 = 7/8 * 1.0
  r4 = 15/16 * 1.0
  ...
  r = 1.0
  
ところがディスクは開集合なので、点1.0を含みません。
一方 閉集合[0,1]は点1.0を含みます。
よってこのシークエンスは[0,1]の被覆ではありません。



じゃあ
中心0、半径1.1の開集合ディスクを使うと
  r1 = 1/2 * 1.1
  r2 = 3/4 * 1.1
  r3 = 7/8 * 1.1
  r4 = 15/16 * 1.1
  ...
  r = 1.1
これは点1.0を含むので、閉集合[0,1]の被覆になります。



・・・ところが実は
  r4 = 15/16 * 1.1 = 1.03125

なので、ディスク∞なんていらなかった。
ディスク4枚あれば十分被覆できたのです。

これこそが

コンパクト性の定義:
Kを位相空間とする。

開集合の族Mが集合X全体を覆う時、
  X ⊂ UλMλ
MはXの開被覆と言う。

位相空間Kにおいて、
あらゆる開被覆が有限部分被覆を持つ時に
コンパクトと言う。

特に閉集合[0,1]はコンパクトである。
  (ハイネ=ボレルの被覆定理)


この文章の
  「あらゆる開被覆が有限部分被覆を持つ
の意味だったのです!


今回はわかりやすい例として同心円ディスクを使いましたが、
実際はどこをどうやっても同じ現象が発生します。

もし、∞個の開集合Uを使って、閉集合Xを被覆を形成できた時は、
Uの中から有限個数の開集合を選んで
Xの被覆を作る方法が必ず存在するのです。

面白いですね!