「萌え絵の科学 アニメの変な横口編 (2020/07/09)」
そーいや。
アニメ絵って。
横顔の変な位置に口がついてるんですね。^_^;
これはアニメ絵のワンダー。
常識的に考えると、口を描画する位置は下の絵が正解。
上みたいな変な位置に描いてるのは「明らかなデッサンミス」。
完全に間違ってるように見えるんですが。
・・・実は上が正解です。はい。^_^A;
たぶん漫画家/アニメーター/イラストレーター系の人に聞いたら、
ほぼ全員「上が正解」で合致するはずです。
これにはちゃんと理由があるので
解説します。
(これはもう本当に、大昔からあるミステリーなので
この件についてのコラムを描くのも実はこれが三度目です。)
萌え絵の科学 アニメの変な横口編
P1
視聴者の素朴な疑問
P2
アニメの横口がこうなるのには、理由があります。
P3
リアルな横顔。アニメ絵は「現実のデフォルメ・美化」である以上、
現実の顔は強く意識する必要があります。
P4
やはりアニメは目がデカい!
ここが全ての元凶です。
P5
瞳が大きくなった影響で、
(鼻+鼻下+クチビル+アゴ)を狭いスペースに描く必要が出てくる。
P6
こうして見るとやっぱりちょっと変なんですねー。
P7
(鼻+鼻下+クチビル+アゴ)を、本来より狭いスペースに圧縮して
描いたせいで
顔のパーツが本来の位置より下にずれてバランスが悪くなってます。
P8
そこでオットセイラインの発明です。
P9
圧縮ラインは(鼻+鼻下+クチビル+アゴ)の4パーツが
本来の位置より下にシフト、変形してしまったのに対して。
オットセイラインは「鼻以外の全て」が
リアルと全く同じYを保持してるので
顔のバランスがとてもいいです。
リアルと完全に同じなんだから、そりゃいいに決まってます。
P10
だがオットセイラインを採用した結果、
顔の輪郭が大きく歪んで
ここで口の位置問題が立ち上がってきます。
P11
口の位置。正解は「輪郭に沿って」ではなく「中空」です。
P12
オットセイラインというのはあくまで「可愛く見える」から採用しただけであって、
リアルではありません。人間の顔がこんなオットセイみたいな形してるわけない。^_^
リアルなのは圧縮ラインの方です。
P13
オットセイラインは「可愛く見せるための嘘」。
偽のラインなのでそこに口を合わせると
(よくよく見ると)違和感が出てきます。
リアルなのは圧縮ラインの方です。
だから口の位置はそっちに合わせた方が自然なのです。
P14
かくして我々は
顔の輪郭は虚構のオットセイ
+ 口の位置はリアルの圧縮ライン
この2つを組み合わせた結果
この変な横顔・口の位置にたどり着きます。
まとめ:
全ての元凶はやはりここ。
アニメ絵は目が異常にデカい!
ここで"嘘"をついて数値をいじった結果、
我々はどこかでもう一度 "嘘"をつかないと
帳簿が合わなくなってしまった。
それが"口と輪郭の位置関係の破綻"です。
・・・これはしょうがないんですね。^_^;
ここを破綻させないと、どこか別のところで破綻が生じます。
結局あと一回は嘘をつかないといけないんだったら
ここで安全に爆破するのが多分ベスト。
日本のアニメ絵はその結論に辿り着きました。
・・・と、以上の理由により。
アニメ絵で横顔を描くときには
口は"中空"の位置に来ます。
あの変な横口にはちゃんとした理由があったんですよ!(^_^A;