「数学コラム 巨大な数を生み出す↑記号 (2020/03/21)」


今日のCG ↑(ウエヤ・ジルシ)ちゃん



数学・巨大有限数の理論で出てくる
↑記号について解説。


例えば
  10 x 6 = 10 + 10 + 10 + 10 + 10 + 10
のように、a×bは「10が6個、+で連結されている」表記の
ショートカットと考えることができます。

同じ原理で
  10 ^ 6 = 10 × 10 × 10 × 10 × 10 × 10
のように、a^bは「10が6個、×で連結されている」表記の
ショートカットと考えることができます。

同じ原理で
  10 ↑↑ 6 = 10 ^ 10 ^ 10 ^ 10 ^ 10 ^ 10
のように、a↑↑bは「10が6個、^で連結されている」表記の
ショートカットと考えることができます。

同じ原理で
  10 ↑↑↑ 6 = 10 ↑↑ 10 ↑↑ 10 ↑↑ 10 ↑↑ 10 ↑↑ 10
のように、a↑↑↑bは「10が6個、↑↑で連結されている」状態を
表すショートカットと考えることができます。

同じ原理で10 ↑↑↑↑ 6は「10を↑↑↑で6連結」。
矢印の数が5,6,7...と増えても「10を(前回の↑...↑)で連結」です。



うん、原理としては簡単。
ただのショートカット表記以外の何物でもないので
コレ自体は誰でもわかるのですが。

・・・いざ実際に計算してみると
とんでもない事になるんだわ。^_^;

例:
3↑3 = 3^3 = 3 × 3 × 3 = 27
3↑↑3 = 3^3^3 = 3 ^ 27 = 7,625,597,484,987
3↑↑↑3
  = 3↑↑3↑↑3
  = 3 ↑↑ 7,625,597,484,987
  = 3 ^ 3 ^ 3 ^ (...7,625,597,484,987連結...) ^ 3

ってアホか!ノ ̄□ ̄)ノ ~┻━┻

3^3^3。三連結の時点で7,625,597,484,987。
3^3^3^3。4連結の時点で
  3 ^ 7,625,597,484,987 = 約 10^3,638,334,640,024
  
  宇宙に存在する全原子の数が10^80程度、  
  将棋の全パターンが10^200、
  囲碁の全パターンが10^300、
  宇宙には10^3,638,334,640,024に匹敵するような数は全くありません。

3^3^3^3の時点ですでに人類には無理な計算になってるのに、
  3↑↑↑3 = 3^3^3^(...7,625,597,484,987連結...)^3 
なんて計算できるわけがない!!


当然、
  3↑↑↑↑3 = 3 ↑↑↑ 3 ↑↑↑ 3
は3↑↑↑3を遥かに圧倒的に凌ぐ、超ドデカイ数です。



じゃあいったい。
そんな計算不可能なほど巨大な数を↑記号で作る意味って?

・・・あるんです。
グラハム数(ランク8)TREE3(ランク18)など、
3↑↑↑↑3を遥かに凌駕する巨大サイズの物体が
数学パズルの中には登場します。

そのサイズを記述するための中間段階として、↑記号は発明されました。



そういうわけで。

↑矢印、および3↑↑↑↑3数などは
巨大有限数の理論としては一番下(ランク7)。

最小クラスに属するんですが
それでも人間にとってはあまりにも巨大すぎて
人間が計算を諦めるサイズとなります。^^;


人間が計算できるのはせいぜい10^100程度(ランク2)まで。
これより上のランクにアクセスできる者は・・・神だけです。