「数学コラム 「ヨコ×タテ」「タテ×ヨコ」で面積の変わる不思議な図形5 (2018/01/15)」


R2。つまり二次元平面を
 A={ <xαxβ> : α,β∈ω1,α>β}
 B={ <xαxβ> : α,β∈ω1,α≦β}
としたとき、

Bは

こんな「テレビノイズ」な図形でした。


この時に任意のy'について、
区間H=(x=0~1,y')ついてBに属する点は何個あるでしょうか。


y'は実数なので適当なβを取ればy'=xβ β≦ω0
とインデックス表示できます。

つまり
区間H=(x=0~1,xβ)。

 B={ <xα,xβ> : α,β∈ω1,α≦β}
だったので、
H区間でBに属する点の集合は
 B∩γ={ <x=xα,y' (=xβ)> : α∈ω1,α≦β}

しかしα≦βなので、α≦ω0

だから
 B∩H={ <x=xα,y'(= xβ)> : α≦β≦ω0}

つまりB∩Hは可算無限程度の個数しか点を持っていない。
ルベーグ積分のルール「可算無限程度の個数の点は0と数える」により
H区間に関するヨコ一次元面積
 ∫01 f(x,y')dx =0
となります。
y'は任意。つまりあらゆるyについて上記の式は成立します。

以上の論法により
「ヨコ×タテ」でBの面積を計算すると
0101 f(x,y)dx dy = ∫01 0 dy = 面積0



さて今度はタテを数えてみましょう。


 B∩V={ <x=x'α,y> : α≦ω0,α≦β}

今度は条件が
 α≦ω0、α≦β
であり、
 ω0≦β
を満たすβは非可算無限ある。

ルベーグ積分のルール「非算無限の個数は有意義と数える」により、
V区間に関するタテ一次元面積
 ∫01 f(x,y')dy =1

よってタテ×ヨコで面積を数えると
0101 f(x,y)dy dx = ∫11 0 dx = 面積1


・・・証明終わり!


ふー、長かった^_^;



うーん、この論法は珍しいね。
面積に関する矛盾と言っちゃあ
選択公理を使うパターンが多いのですが。


これも選択公理使っていますが、
もっと本質的には連続体仮説、
つまり
 α<ω1
ならば自動的に
 α≦ω0
が成立する。

それを使えば
実数の総数はω1だけど、
個々の点xを見てる瞬間には
 x = xα α≦ω0
。ω0まではルベーグ積分の上では0になるので、

積分による面積の求め方は
 「『一瞬のyの横幅』をy=0~1」まで積算した物。

 『一瞬のyの横幅』=0
さえ0にできれば

 面積=ヨコ×タテ=0(ヨコ) × y=(0~1)(タテ) = 0

にできる。

図形の面積を測る時はタテ×ヨコ、またはヨコ×タテで「二段階に分けて計測しなければいけない」。
その際に生じる
 0×残り=0
 1×残り=1
みたいな、先頭の順番によって答えが入れ替わってしまう
定義の穴を巧みについてきました。^^;

いやあ。(^_^;
まるでコンピューターにおける
 「セキュリティホール & アタック」
というか。
まあよくもこんなアタック方法を考えつくものです。
 <この論文を最初に発表した人



なおルベーグ積分論的には
 「面積とは、測り方に依存しない図形にのみ適用できる。」
として、こういう「タテ×ヨコ」、「ヨコ×タテ」で値が変わる異常な図形は
面積のアウトプットを受け付けないことで
矛盾の発生を回避してます。

んがっ!ルベーグさんもさすが。( ̄□ ̄;)
こういう事態に備えてきちんと対策を用意してたのだ。

(コラム終わり)