「数学コラム 一カ所の矛盾→世界が崩れる 4(2013/03/19)」
数学コラム。前回の続き。
そしてこれでラスト&総集編。
やってる事は連載第一回目でやった
1.仮定により、pと¬pが同時に成立している。
2.この時任意のsにつきs → pである。
3.s → pの対偶を取る事により¬p → ¬s
4.前提により¬pが成立しているので¬sが導かれる。
結論:よってsと¬sの成立が同時に成り立った。
をわかりやすいよう具体例を挙げながら検証するだけです。
「どんな盾でも貫く最強の矛&どんな矛でも止める最強の盾」
と言う矛盾した道具がこの世にあったとして、
そこから「ダイヤモンドより豆腐の方が硬い」と言う全く関係ない事実を導きます。
1.『仮定により、pと¬pが同時に成立している』パート。
まずは前提として
「その矛は止められない」と
「その矛は止められる」の両方の事実が成立しています。
2.『この時任意のsにつきs → pである』パート。
次に、論理式
豆腐よりダイヤモンドの方が硬い(ならば) → その矛は止められない(が成立する)
が成立しています。
なぜなら「その矛は止められない」は常に成立してる事柄なので、
その前にある前提がなんであろうと必ず成立するからです。
3.『s → pの対偶を取る事により¬p → ¬s』パート(¬記号は否定を表します)。
次に、論理式
豆腐よりダイヤモンドの方が硬い(ならば) → その矛は止められない(が成立する)
の対偶を取れば
その矛は止められる(ならば) → ダイヤモンドより豆腐の方が硬い(が成立する)
になります。
4.『前提により¬pが成立しているので¬sが導かれる』パート。
しかし、前提により「その矛は止められる」も成立しているので
3.で導いた
その矛は止められる(ならば) → ダイヤモンドより豆腐の方が硬い(が成立する)
式と組み合わせる事により
→ ダイヤモンドより豆腐の方が硬い
が、導き出されました。
証明終了。
□
同様の議論で
「どんな盾でも貫く最強の矛&どんな矛でも止める最強の盾」みたいな矛盾する事実がこの世に1つでも存在すれば
そこから
・地球は丸くない
・犯人はあなたですが、犯人はあなたではありません
・この世界は存在しない
・1+1=2ではない
・1+1=3
・1+1=-100
などどんな結論でも好き勝手成立させる事ができます。
sについて適当な嘘を置いておけば、sの否定が成立。要するにどんな文章でも真実にさせる事ができますから。
以上、矛盾についての数学コラムでした。
「数学コラム 一カ所の矛盾→世界が崩れる 2(2013/03/04)」
数学コラム。前回の続き。
証明に使った式などをこまかいパートにわけて一つずつ説明してゆきます。
まずは「対偶」から。
・対偶について
定理:
論理式A→B(もしAが正しいならば、Bも正しい)の対偶は
¬B→¬A(もしBが偽ならば、Aも偽)で、
両者は論理的に同等です。
例:
・「犯人ならば → 現場にいたはず」。その対偶「現場にいなかったのならば、犯人ではない」
・「朝が来る → 太陽が顔を出す」。その対偶「太陽が見えてないならば、まだ朝ではない」
・「冬になると → 雪が降る」。その対偶「雪が降っていないならば、冬以外の季節だ」
等々。
こうしてみるとどれもごく自然な流れだと思います。
証明:
それではなぜ対偶が正しくなるかと言うと
背理法から証明できます。
(対偶は公理ではありません。証明から導ける定理です。)
まず「A→B(Aが成立するとBも成立する)」を仮定します。
次に、もし「¬B → A(¬Bが成立するとAも成立する)」だったらばを考えます。
この時、¬Bが成立すれば論理式「¬B → A」によりAが成立します。
ところがA→B式もありますから、Aが成立するとBも成立します。
¬Bの成立 → Aの成立 → Bの成立
となり¬BとBが両方成立することになって矛盾になります。
よって¬B → Aはありえない。
だから¬B → ¬Aにならなければならない。
と言うのが対偶が正しくなる理屈です。
これも例を出しますと
・「Aさんが犯人ならば → Aさんは現場にいたはず」。(1)
次にその対偶を考えて、
「Aさんが現場にいなかったのならば・・・・Aさんは犯人である」(2)と仮定してみます。
(2)から(1)に文章をつなげてみると
「Aさん現場にいなかったのならば・・・・Aさんは犯人である → Aさんは現場にいたはず」(3)
が成立します。
とすると(3)の中で「Aさんは現場にいたはず」と「Aさんは現場にいなかったはず」の両方の事実が成立してるので
これはおかしい。
なので「Aさん現場にいなかったのならば・・・・Aさんは犯人である」と仮定するのは間違いである。
だから「Aさん現場にいなかったのならば・・・・Aさんは犯人ではない」でなくてはなりません。
これが対偶ですね。
次回に続きます。